2014年9月28日日曜日

マランツ初のUSB-DAC搭載単体ヘッドホンアンプ HD-DAC1試聴記

D&M本社(川崎市)

マランツ初のUSB-DAC搭載単体ヘッドホンアンプHD-DAC193日に発表されました。

フルディスクリート無帰還バッファーやディジタル・アイソレーションシステムなど期待できそうな内容でしたので、914日にディーアンドエムホールディングス川崎本社で開催されたPhile-Web試聴会に参加しました。

試聴会では、20分ほどの製品紹介の後、製品の音決めに使用される通称「澤田ルーム」と呼ばれる試聴室での試聴と、プレゼンルームでのヘッドホンによる試聴が行われました。




説明者はサウンドマネージャーの澤田氏
スピーカーによる試聴を行った「澤田ルーム」は50㎡ほどの広さで、平行面を持たない、遮音性能が90dBという特殊な部屋です。これは、スピーカーの特性試験等に使用される無響室並みですが、残響が適度にあり、本当の無響室のような居心地の悪さは感じませんでした。

この部屋の機材で一番高額なのはケーブルであるとの説明がありましたが、総額で700万円程のようです。ケーブル類は入出力とも全てフローティングされていました。スピーカーはB&W800D、プリアンプがSC-7S2、パワーアンプがMA-9S2という構成。ソースはMacBook AirHD-DAC1です。

スピーカーとパワーアンプはフローティングされていましたが、プリアンプが丸太から切り出された厚板に置かれていたのが興味深かったです。また、アンプのトランスやヒートシンク上に銅ブロックの鳴き止めが置かれていたのにはアマチュア的気遣いが感じられました。
ラインケーブルもフローティング

試聴はクラッシックとポップスを取り混ぜて3曲ほど。
中低域は、制動は利いているものの肉付きの良い音で、高域もことさら広帯域を意識させるものではなく、音楽を楽しめるものでした。
もう少しクールな音を想像していたのですが、良い意味で裏切られマランツの製品に対する信頼が高まりました。

HD-DAC1のライン出力の音は、他のプレイヤーとの比較はありませんでしたが、プログラムソースの特徴を良く描き分けていたと思います。


ソースはMacBook Air + Audirvana Plus

この後のプレゼンルームでのヘッドホンによる試聴では、HD-DAC1のほかNA8005SA8005も聴くことが出来ました。ヘッドホンは使い慣れたゼンハイザーHD650を持参し、プログラムソースも自分でCDからリッピングしUSBメモリの保存したものを使用しました。

HD-DAC1の音は、一聴して音場が広く雑味が無い上品なものですが、NA8005に比べやや伸びやかさ力強さが不足し、エージングが不足している印象を受けました。しかし、ゲイン切り替えをLoからHiに切り替えると奔放さが増し、当初の印象は払拭されました。

高音質パーツ(ニチコン製)
HD650はハイインピーダンスの為、機器の付属ヘッドホン端子では伸びやかに鳴りにくいのですが、HD-DAC1ではゲイン切り替えが有効に作用したようです。

また、音数の多さや音色の多彩さ、低音の量感などにディスクリート構成のヘッドホン専用アンプとしての特質を感じました。音場の広さは、ディジタル・アイソレーションシステムの為せるところかもしれません。

これまでヘッドホン専用アンプは所有したことが無く、今回の試聴でその存在価値を十分認識できましたので、HD-DAC1が発売されたら手元に置いて、じっくり使い込んでみたいと思います。

このような機会を与えて下さった、㈱音元出版Phile-Webさん、㈱ディーアンドエムホールディングスさんにこの場をお借りして、お礼申し上げます。

ありがとうございました。